【企業探訪】[7]「適用間近!! 改正リース会計基準」
「明智君、久しぶり!! 最近見かけなかったけど、元気にしてた?」
監査法人事務所で作業をしていた明智に声を掛けたのは、同期の今井京子である。
「あぁ、今井か~。そう言えば久しぶりだね。そっちこそ元気にしているの?」
「そうね~。・・・。そうだ!! ちょっと相談があるんだけど、今、時間いい?」
「・・・なんかイヤな予感がする。」
「まあ、そう言わずに。リース会計のことなんだけどね。来年度から改正リース会計基準が適用(※1)されるじゃない。明智君の担当しているクライアントでは準備が進んでいるのかな~、なんて話なんだけど。」
「ん~、その話か~。オレが担当している会社は大丈夫!! と言いたいところだけど、ちょっと大変な会社があるんだよね。会社の設備がほとんどリースだし、工場、支店もたくさんあるからね。この間、経理部長との話の中でちょうどリース会計の話題が出たんだけど、『実物管理が全くできていません!! わはははは~。』なんて打ち明けられちゃったよ。ダメ出ししておいたけど。」
「そうなんだ~・・・。どこも悩むところは同じなのね。実は、私の行っているクライアントも実物管理が全くできていないのよ!! 契約書をベースに早急に棚卸をして下さいとは伝えたんだけど、その契約書の管理もできていない状態。もうっ、イヤになっちゃうわ!! 近々リース会社と打ち合わせて対策を練るらしいんだけど・・・・大丈夫かしら。」
「契約書管理か~。それも重要だよね~。それから、今回の改正で、所有権移転外ファイナンスリース取引について、賃貸借処理が基本的に認められなくなったでしょ。これからは、原則、売買処理をしていかなきゃいけないから(※2)、現在価値基準でリース取引を判定したり、リース料総額から利息相当額を控除したり、利息相当額は利息法によって毎期計上していかなければならないし・・・。はぁ~、今、考えただけでもうんざりしてくるね。」
「あっ、今井さんだ! お久しぶりですっ!! 」
「あら!! 小林君じゃないの。どう、がんばっている? 明智君にいじめられたらいつでも相談にいらっしゃい。」
「はっ、はいっ!! 明智さんには常にいじめられていますので、すぐに相談に行きます!!!」
「おい、おい。オレはいじめてないぞ。」
小林君の興味は改正リース会計基準よりも別のところにあるようである。
明智(明智龍之介)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。現場では主に主査(いわゆる監査の現場監督者)を担当している。
今井(今井 京子)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。明智とは公認会計士試験の受験時代からの知り合いで、同期にあたる。
小林 (小林新一) ― しあわせ監査法人在籍1年目の新人会計士(補)。
※1 平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用。
※2 従来のリース会計基準では、所有権移転外ファイナンスリース取引について、一定事項の注記をすることを条件に、賃貸借処理を認めていました。改正リース会計基準では、一定の条件を満たす所有権移転外ファイナンスリース取引のみ、賃貸借処理が認められることになりましたので、この条件を満たさない所有権移転外ファイナンスリース取引は売買処理を行わなければならなくなります。

