【世を読む】深刻化するいじめ問題 大人達は何をすべきか
神戸の私立男子高校で、高校3年生の生徒がいじめを苦に校舎4階から飛び降り自殺し、その後、同級生3名が恐喝未遂で逮捕されるという事件がありました。報道によると、度重なる金銭の要求だけでなく、下半身の裸の写真をネットに掲載したり、頭髪をモヒカン刈りにしたりといった陰湿ないじめの実態があったようです。事件当日、遺品の弁当箱を家族が開けたところ、母親が入れていない別のおかずが詰め込まれていたともいいます。まったく心の痛む事件であります。
インターネットや携帯電話がいじめの温床になっているなど、いじめの質が変わってきているように感じた事件ですが、時代と共にいじめ問題が解決するどころか深刻化しているのは何故なのでしょうか。
「夜回り先生」で有名な水谷修先生は、講演会でこのようなことを言っていました。
父親は会社でストレスを溜めて帰ってきます。そのストレスのはけ口は母親に向かいます。母親は父親の愚痴や家事などでストレスが溜まります。そのストレスのはけ口は子供に向かいます。「何でそんなことするの」「そんなことをしてはいけません」と子供を否定することばかりを言い、母親が子供を「褒める」ということをしません。その結果、何の罪もない子供は家庭内で相当のストレスを溜めていることになるのです。そこで、子供がストレスのはけ口をどこに向けるのか。
水谷先生は、次の3つに集約されるといいます。
1つ目は、自分の両親に向ける。つまり、「反抗期」の始まりである。
2つ目は、他の子供に向ける。つまり、「いじめ」である。
3つ目は、自分自身に向ける。
飲酒、喫煙、染髪、ピアス、家出、ドラッグ、売春、リストカットなどなど、世間から非行と称される行為は、両親や他人を傷つけることの出来ない心優しい少年・少女が、ストレスのはけ口として選んだ手段だというのです。これらの行為を「非行」として大人が封じ込めると子供達はどうなるのか。はけ口のなくなった子供達は、最悪の場合、死を選ぶことになります。
いじめや非行の根本的原因は、父母や教育者など大人にあります。「いじめられる人間が悪い」など、とんだ言いがかりです。純粋無垢に育っている子供達にストレスを与えないこと、これを我々大人達は自覚すべきではないでしょうか。
自殺した少年の遺書には「死ぬしかない」と書かれていたようです。そこまで彼を追い詰めた根本的な問題は何だったのか、それを考えないことにはまた同じような事件を繰り返すことになるだけです。

