2008年08月号

【リガヤの視点】Vol.10「徳(とく)は孤(こ)ならず、必ず隣(りん)あり」

経営者は孤独だといわれます。実際に経営者となってみて、その意味が痛いほど分かります。人に相談できないような悩みも抱えます。思い切って打ち明けたら猛反発を食らうこともあります。正しいと思って発言したことが、全否定されることもあります。それでも経営者は会社という大きな船を舵取りしなければなりません。
 こんな時に、私は論語のこの言葉を思い出します。「徳は孤ならず、必ず隣あり」。徳の備わった人は決して孤立無援になることはなく、必ずあなたの隣には同じ考えの人が現れ助けてくれるはずだ、という意味です。自分が正しいと確信していること、それ以外に正しい道はないと思っていることは、「どうしよう?」と悩まずに、自信を持って突き進むべきです。
但し、論語には「徳ある者、必ず言(げん)あり」という言葉もあり、徳の高い人は必ず言がなければなりません。つまり、自分の考えや行動について、社員や社会に賛同を求め、その輪を大きくしていかなければなりません。
大切なことは「正しいこと」を行うことです。そして、それを徹頭徹尾貫く行動力です。

2008年07月号

【リガヤの視点】Vol.10「吾日に吾身を三省す」

“メモ魔”で有名だった故中内功氏の著書をむさぼり読んでいた学生時代から、常にノートやメモを持ち歩くようになりました。今まで書いてきたノート類の数は数えきれないほど。会社を経営するようになってからは内容が日記になってきました。新しいアイデアやひらめき、その時の考えや想い、反省点や改善点など、「思ったこと」を思ったままにしておくと大半は忘れてしまうものです。「書いたこと」は絶対に忘れません。
 論語に「吾日に吾身を三省す」という言葉があります。三省堂の社名もこれから取ったようです。君子といわれる人物は一日に三回我が身を省みる、本当はそれくらい我が身を省みることが重要ですよ、という意味です。人物が育つためには自己研鑽しかありませんが、そのためには今日の自分よりも明日成長しなければなりません。明日の自分が今日の自分よりも成長するためには、今日の自分を省みる必要があるでしょう。
 ワタミの渡邉美樹社長は「日記を書くことでしか、人間が成長する手段はない」というようなことを述べていました。最近、つくづくその通りだなぁ、と感じます。

2008年06月号

【リガヤの視点】Vol.9「Aクラスの人は、Aクラスの人と仕事をする」

シリコンバレーのビジョナリーと呼ばれる人たちの名言を集めた『ウェブ時代 5つの定理』(梅田望夫著、文藝春秋)の中に、このような言葉があります。
 『Aクラスの人は、Aクラスの人と一緒に仕事をしたがる。Bクラスに人は、Cクラスの人を採用したがる。』
 この言葉は至言だと思います。ビジネスを行っていくにあたり、例え職人さんであったとしても、自分一人の力で成しえることは限られます。松下幸之助も「自分一人ではほどほどの仕事はできても、大きな仕事はできない」と言っている通り、社内外のパートナーの情報・知識・ノウハウ・人脈等を使ったり、依存したりすることなくして、ビジネスを大きな成功させることはできません。どういったパートナーと仕事をするかということは極めて重要なことであり、自分や会社を向上させるためには、どこかの分野で自分よりも優れたものを持っている人と働くべきです。
仕事を終えてから飲みに行く人もまたしかり。世間や会社の愚痴ばかり言っているようなCクラス人間との関係は断たなければ、Aクラス人間にはなれないと思います。

2008年05月号

【リガヤの視点】Vol.8「この道より我を生かす道なし この道を歩む」

 自分の目の前には無限の可能性、無限の選択肢が広がっています。それを生かすも殺すも各人の考え次第。
人生の選択肢が多ければ多い程、幸福度は大きいはずですが、一方で、自分の天命・天職を見付けることができた人は、もっと幸福な人生を歩むことができるはずです。
 孔子(こうし)が「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」と述懐しているように、君子(くんし)といわれる人物でさえも50歳にしてようやく天命を自覚することができたのです。20代や30代で「自分は××のタイプだから…」「私は○○が苦手だから…」と言い訳して、選択肢を狭めてしまうことは、何とももったいないことです。
 まずは与えられた業務を甘んじて受け入れる、全力をあげて与えられた責任を果たす、という生き方をすることが、自分の人生を全うするために最も大切なことです。その先に、天命があるはずです。(天)命(めい)を知らざれば、もって君子たることなきなり。君子になるか、小人(しょうじん)で終わるかは、自分の目の前にあることを懸命に行うかで変わってくるでしょう。
冒頭は武者小路実篤の有名な言葉。50歳までにこういえるようになりたいものです。

2008年04月号

【リガヤの視点】Vol.7「箸(はし) よく盥(かん)水(すい)を回す」

イエローハット創業者で、トイレ掃除の伝道師でも有名な鍵山秀三郎氏が、古人・先人が語った「心に宿る言葉」をまとめた『人間を磨く言葉』(PHP研究所)という文庫本の中に、「箸 よく盥水を回す」という言葉が紹介されています。
「盥」とは「たらい」ともよみます。つまり「盥水」とは盥(たらい)の中の水のことです。箸一本で盥水を回しても、箸しか回りません。ところが、その箸を根気よく熱心に回し続けていると、周囲の水が少しずつ回るようになります。さらに、諦めずに回し続けると、一段と輪が広がります。
我々は何事も箸一本で盥水を回し始めて直ぐに諦めてしまいがちです。大きな波を起こすには、根気よく熱心に行う努力が必要だということを、この言葉は教えてくれます。
鍵山氏も掃除を続けて三十数年。誰でも出来る小さなことでも、「10年偉大なり、20年畏るべし、30年歴史に残る。」との自身の言葉の通り、こつこつと続けることにより歴史となりました。「こつこつと続けること、益はないが、意味はある」(鍵山氏)。続ければ本物になるのです。

2008年03月号

【リガヤの視点】Vol.6「問題は能力の限界ではなく、執念の欠如である」

元経団連会長の故土光敏夫(どこうとしお)氏の『新訂・経営の行動指針』(産業能率大学出版部)という本を先日購入しました。
この本は、土光氏の社内外の発言を、スタッフが記録・整理した「土光語録」。今から25年前に出版された本ですが、その後重版が続くロングセラーとなっています。本書を読むと、さすが元経団連会長の発言だけあって、一つ一つが心に響いてきます。
特に、『人間の能力には大きな差はない。あるとすればそれは根性の差だ』、『やるべきことが決まったならば執念をもってとことんまで押しつめよ。問題は能力の限界ではなく執念の欠如である。』という二つの発言は、経営における多くの問題を吹き飛ばす程の深い言葉ではないかと思います。
また、『人は説教では動かぬが、自らが実行すれば動き出す。』という言葉も、経営者にとって深く考えさせられる言葉ではないでしょうか。まず経営者が一心不乱に働く姿を見せなければ、人は動かないということを教えてくれる言葉です。
他にも多くの名言が収録されています。タイトルの通り、すべての経営者の行動指針となる一冊です。経営者の方は、座右の書に加えて頂ければと思います。

2008年02月号

【リガヤの視点】Vol.5「対象を愛して没頭している人にはかなわない」

先日イチロー選手が出演しているテレビ番組を見て感銘を受けました。多くのプロ野球選手が年明けから自主トレを始める中、イチロー選手は前シーズン終了から5日休んだだけで「体がおかしくなって、これはヤバいと思って・・・」と、11月から誰もいないスタジアムで黙々と一人練習をしていたのです。
『ウェブ進化論』(ちくま新書)で有名な梅田望夫さんが、ある雑誌の対談で、昔の環境に比べると時間も場所も関係なく仕事に没入できるようになったのであるから、「対象を愛して没頭している人にはかなわない」時代になった、と言っていました。イチロー選手は、まさに「対象を愛して没頭している人」であり、ほとんどの大リーガーでさえもイチロー選手の実力には「かなわない」わけです。
我々ビジネスパーソンも、ITが進化した現代社会において、専門知識を詰め込んだ「プロフェッショナル」という枠を超えた「職人」を目指さなければ勝ち残れない時代になったのではないかと思います。まずは、目の前の対象を愛し、没頭して、「好き」を貫く必要があるのではないでしょうか。