2008年08月号

【リガヤの視点】Vol.10「徳(とく)は孤(こ)ならず、必ず隣(りん)あり」

経営者は孤独だといわれます。実際に経営者となってみて、その意味が痛いほど分かります。人に相談できないような悩みも抱えます。思い切って打ち明けたら猛反発を食らうこともあります。正しいと思って発言したことが、全否定されることもあります。それでも経営者は会社という大きな船を舵取りしなければなりません。
 こんな時に、私は論語のこの言葉を思い出します。「徳は孤ならず、必ず隣あり」。徳の備わった人は決して孤立無援になることはなく、必ずあなたの隣には同じ考えの人が現れ助けてくれるはずだ、という意味です。自分が正しいと確信していること、それ以外に正しい道はないと思っていることは、「どうしよう?」と悩まずに、自信を持って突き進むべきです。
但し、論語には「徳ある者、必ず言(げん)あり」という言葉もあり、徳の高い人は必ず言がなければなりません。つまり、自分の考えや行動について、社員や社会に賛同を求め、その輪を大きくしていかなければなりません。
大切なことは「正しいこと」を行うことです。そして、それを徹頭徹尾貫く行動力です。

【会計info】 リース会計基準、リース税制が変わる!

リース会計基準、リース税制が変わる!

平成20年4月1日以後開始する事業年度から新リース会計基準が適用されます。また、平成20年4月1日以後締結したリース契約から新リース税制が適用されます。
 従来のリース会計基準は、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、賃貸借処理を例外的に認め、ほとんどの企業が資産・負債をオフバランスにしてきました。法人税法上も、従前は、所有権移転外ファイナンス・リース取引は賃貸借処理が原則でした。
 新しい基準の適用後は、会計上も税務上も原則としてすべてのファイナンス・リース取引は売買処理として処理することとなります。つまり、ファイナンス・リース取引に関する資産・負債がオンバランスされることとなります。

ファイナンス・リース取引の表示と注記

リース資産は、原則として、一括して「リース資産」として表示することになります(但し、有形固定資産または無形固定資産の各科目に含めることも認められる)。減価償却累計額は、間接控除形式(減価償却累計額により表示)だけでなく、直接控除形式による表示も認められます。リース債務については、ワンイヤールールにより流動負債もしくは固定負債に「リース債務」として表示します。
 所有権移転外ファイナンス・リース取引を売買処理した場合においても、リース資産についてその内容(主な資産の種類等)及び減価償却の方法を注記することになります(但し、重要性が乏しい場合は省略可能)。
 新リース会計基準に係る会計処理と開示の全体像を以下の図に示したので参照下さい。

fmacfr0003.gif

【出所】弊社配信 情報提供サイト「リガヤフレームワーク」より

【経営info】苦境を乗り越える

苦境を乗り越える

どんな会社であっても創業からずっと順風満帆に業績を伸ばし、安定した経営を行うことは容易ではありません。むしろ何らかの苦境を乗り越えた経験を持つ会社の方が、組織として強く揺ぎない社会的地位を確立しているのではないでしょうか。苦境を作り出す要因としては社員、環境、そして経営者自身の三つがあると思います。それらを如何にしてプラスに転じることができるのかを考えてみましょう。

社員によるもの

業績が悪いと真っ先に「うちの社員はダメだ」と考えてしまうのは簡単ですが、その状況を打開することが経営者の役割です。もっと優秀な社員がいればものが売れると安易に思っても、そんな優秀な社員が業績の悪い会社に来てくれるはずはないのです。社員の能力を責める前に、戦略・商品・市場を今一度、分析・検証することをしなければ組織は成長しません。目の前の社員ととことん向き合う中で、ほんの一握りでも「一生この会社で働こう」と、意を決する人物とめぐり合うことが出来るのではないでしょうか。そしてそのような社員こそが会社の将来を左右するかけがえのない存在になるのです。

環境によるもの

人間の力は時として無力だと感じることがあります。まるで天災のように、どうしようもない現実によって会社や生活が一変してしまうことが、いつ何時我が身に起こるか分かりません。絶望感に打ちひしがれそうになると人間は物事をとてもシンプルに考えるようになれる生き物です。「どうしようもない」という思いから、「今すべきことはなにか」「何のためにするのか」という答えを導こうとします。つまり、すべてがゼロになった時に自分の本質と最も重要なことが明確になるのです。ビジネスの成功事例の多くが、どん底の状態から芽吹く内容であるのはそんな理由があるのではないかと思います。すべてが上手くいっている時には見落としがちなチャンスやヒントに出会える絶好の機会だと考えれば良いのです。

自分によるもの

会社の成長とともに、経営判断をするトップには計り知れない重責がのしかかってきます。人間ですから間違えてしまうこと、正しい判断ができなくなることはあります。「自分は絶対に成功する!」という思いが強いばかりに苦境に立たされると動きが取れなくなってしまうことがあります。地位や名誉とともに人は謙遜さを忘れてしまいます。周りの声に耳を傾けるゆとりと、「自分は間違えた」と素直に認める勇気があれば苦境は必ず乗り越えられるのです。傲慢で高飛車な人には誰も力添えをしようとは思いません。自分の弱さを知り、謙虚な姿勢を持った人物には自然と人が集まり新しい知恵、力を与えてくれるものです。

当たり前のことですが、以下の三つを忘れないことは経営の基本だと言えるのです。

「人を責めるのではなく、真摯に向き合うこと」
「最悪の状況は、考えるチャンスと思うこと」
「自分の間違いを素直に認める勇気をもつこと」

どんな悪い状態も次は良くなるという自然の摂理はビジネスの世界でも同じなのです。

【今月の1冊】 「法廷会計学VS粉飾決算」


今月の1冊 book0808.jpg
『法廷会計学VS粉飾決算』
公認会計士 細野祐二著
2,310円(税込)/日経BP社

制度会計とは何なのか、財務分析とはどういうものなのか、財務諸表は何を表示するものなのか、何を読み取るべきなのか、公認会計士の監査的視点とはどういうものなのか…、この1冊から得られるものは大きい。日興コーディアルグループの「粉飾」を最初に暴き、ついには4大監査法人の一角であるみすず監査法人の解散に追い込んだ著者が、公認会計士としての誇りを賭けて執筆した財務分析研究書。こんなに面白い会計書はない!

今月の1枚
オーディオセミナーCD
『人を動かす経営』
テルモ株式会社会長 和地孝
5,250円(税込)

3期連続で赤字だったテルモに富士銀行から派遣された和地氏が社長に就任し、その後10期以上の連続の増収を続け、売上高は約2倍、利益は約30倍に。企業風土に問題を抱えた会社で、どのような企業風土改革を行ったのか、どのようにして社員の士気を高めたのか。全国行脚や経営合宿などを通し全社員との対話を行うことにより部下の心に火をつける和地流“人を動かす経営”手法がここに。

【Key礎Word】 有限責任監査法人

これだけは知っておきたい基礎ビジネス用語辞典
有限責任監査法人

監査法人は、パートナーと呼ばれる出資者である「社員」が、無限責任を負うことになっている。しかし、監査業務の専門化、高度化の進展によりそれぞれの社員が全ての監査法人の業務を相互に監視することが困難となってきたため、2004年4月1日に指定社員制度が導入され、法人と連帯して無限連帯責任を負う社員を法人の指定する監査証明業務を行う社員に限定することができるようになった。さらに、2008年4月1日からは、そもそもの指定社員のみが無限責任を負担し、監査法人は出資の額を上限とする有限責任しか負担しない有限責任監査法人制度が導入された。
2008年7月1日、新日本有限責任監査法人が日本初の有限責任監査法人となった。

【企業探訪】[11]「不正事例①-小口現金」

「皆さん、こんにちは!! 監査第6部の明智です。今回の研修では、皆さんに不正の事例を参考に、どのような内部統制を構築すればよいのかを考えて頂きます。そろそろ本格的に内部統制監査が始まりますので、自分が行くクライアントを想像しながら考えるとよいでしょう。それでは、早速ですが・・・。」

ここは、しあわせ監査法人の社内研修が行われている会議室。内部統制監査を控えたこの時期、明智は、入社1~3年目を対象とした研修の講師を任されることになったのである。
「では、まず、簡単なところから、現金・預金にまつわる不正からいきましょう!! 事例としては、『ある会社の経理担当者が、少しずつ、かつ、何度にもわたり小口現金を払い出しては、自分の金として流用し、会計上は、架空の経費などで処理していた。何年後かに税務調査によって架空経費の存在が明るみになり、経理部長の現金流用が発覚した。』ということですね。この不正事例について、どのような内部統制が望まれるでしょうか? それでは、当てます。そこのあなた、どうでしょうか?」
「はい、この事例は、経理担当者による小口現金の横領というものですが、小口現金の取り扱いが経理担当者1人に委ねられていたという点に問題があったと思います。したがって、実際の小口現金の取り扱いは経理担当者に任せるにしても、上司がその業務を承認することが必要だったと思います。」
「その通りですね。他に何か問題はありますか?ではそこの君。」
「はい。そうですね~、『会計上は、架空の経費などで処理』とあるので、この小口現金の担当者が帳簿の記帳も任されていたのではないでしょうか?それがいけなかったのだと思います。」

「そうですね。これもその通りです。では、この事例での問題点と解決策をまとめてみましょう。まず、横領されやすい現金の管理を全て1人の経理担当者に任せていたという点に問題があります。もし、この会社の経理部署にこの経理担当者以外に小口現金を取り扱う人がいたり、小口現金の払い出し時に『申請書』などの書類によって承認活動が行われていれば、易々と現金の横領はできなかったでしょう。また、現金の取扱者と帳簿に記帳する担当者を分けることや定期的な現金実査も重要となります。この事例でのポイントをまとめると、
①現金の取扱者とは別の承認者を設置する
②現金の取扱者と記帳担当者を分ける(もしくは、記帳時の仕訳入力に対して上司が承認する)
③定期的に現金実査を行う、という3つが挙げられます。」

会社の小口現金、大丈夫ですか?・・・

【登場人物】
明智(明智龍之介)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。現場では主に主査(いわゆる監査の現場監督者)を担当している。