2008年07月号

【企業探訪】[10]「ストック・オプションの費用はいつ測定すべき!?」

「明智さん、会計監査中申し訳ないが、会計処理について相談してもよろしいですか?」
「あっ、どうも監査役!! 最近ご無沙汰していますね。もちろんいいですよ! あぁ~、もしかして、ストック・オプションのことですか?」
「むっ、さすがですね。明智さんには隠し事はできないな~。ストック・オプションの会計処理については、基準(※1)が出てしまっているので、弊社としてももちろんそれに従わなければならないのですが、どうも、その処理が要領を得ないのですよ・・・。明智さんはどう理解しているのですか?」
「ん~、そうですね。ストック・オプションの会計処理を理解するうえでは、基準のいう『ストック・オプションの対価性』を整理する必要がありますね。つまり、『会社は、ストック・オプションを付与された従業員から付与の対価として追加的な労働サービスを提供され、そのサービスを消費している』と。そして、『サービスを消費している以上、会社は費用計上すべきである』というわけです。」
「そうですね。確かに、弊社で付与しているストック・オプションも一種の報酬的な側面もありますし、従業員のモチベーションアップも1つの狙いですので、なんらかの対価性があることは感じています。しかし、その費用化の金額算定に疑問を感じるのですよ。基準では、費用化金額の算定には、『ストック・オプションの付与時』における公正な評価単価のみを使えといっていますが、ストック・オプションの単価なんてものは株価の変動に応じて常に変動していますでしょ。ストック・オプションの費用化を、『追加的労働サービスの消費』と捉えているのであれば、費用化金額の算定には、その時々のストック・オプションの公正な評価単価を用いるべきだと思うのです。現に、ストック・オプションの付与によって会社が受ける従業員からの労働サービスは、ストック・オプションの権利行使までの期間に提供されているのであって、付与時に一気に提供はされないでしょ。」
「監査役、おっしゃる通りです。私もそう思います。ただ、よ~く考えてみてください。もし、監査役のおっしゃる労働サービスの消費を厳密に会計処理に反映させようとしたらどうなりますか。」
「・・・それは大変なことになりますね。」
「そうです、これを会計処理しようものなら、ストック・オプションの価値を毎日算定して、毎日仕訳伝票を起票しなければならなくなります。」
経理の皆様、それはちょっときついですよね。

【登場人物】
明智(明智龍之介)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。現場では主に主査(いわゆる監査の現場監督者)を担当している。

※1 「ストック・オプション等に関する会計基準」(企業会計基準第8号)及び「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第11号)

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