2008年05月号

【世を読む】新リース会計基準で営業利益増大の効果

固定資産が膨らむが、意外な効果も。予算策定時にはご留意を!
 2008年4月1日以降開始する事業年度より、リース取引に関する会計基準が抜本的に変わります。我が国の大半の上場企業は、これまでリースで調達した機械等の資産を売買処理(貸借対照表に資産計上)せず、賃貸借処理(簿外処理)してきましたが、これからはリース物件を原則として売買処理しなければなりません。(注1)
 ①賃貸借処理の場合、損益計算書には「リース料」を営業費用として計上することになります。一方で、②売買処理の場合、リース資産に対する「減価償却費」が営業費用として計上され、リース債務に係る「支払利息」が営業外費用として計上されることになります。
①賃貸借処理の場合、リース会社に支払うリース料は毎年定額であるため、損益計算書上の「リース料」も毎期定額が計上されます。しかし、②売買処理の場合、減価償却費は多くの会社では定率法を採用していますので、「リース料」に比べ、「減価償却費」は費用処理のピッチが速くなります。
 NTTデータは、2007年9月中間決算において新リース会計基準を前倒しで適用しました。リース資産221億円を貸借対照表に追加計上すると同時に、損益計算書に特別損失188億円を計上しました。この188億円が、上述の「リース料」と「減価償却費」との費用処理のピッチの差となります。逆にいえば、新リース会計基準適用により、特別損失に計上した額だけ、リース期間における営業利益が押し上げられる効果があることになります。NTTデータの場合、2008年3月期に20億円強の営業増益効果があり、この効果を今後数年にわたって享受することになります。
 このように、新リース会計基準適用により特別損失が発生するものの、営業利益を押し上げるという意外な効果もあります。予算や中長期計画策定の際には十分に留意してください。

ri-su.gif

(注1) 但し、非上場企業(上場企業の子会社等を除く。)の場合は、従来通り、リース物件を賃貸借処理することができます。
【参考文献】「日経ヴェリタス」2008年4月6日号

【リガヤの視点】Vol.8「この道より我を生かす道なし この道を歩む」

 自分の目の前には無限の可能性、無限の選択肢が広がっています。それを生かすも殺すも各人の考え次第。
人生の選択肢が多ければ多い程、幸福度は大きいはずですが、一方で、自分の天命・天職を見付けることができた人は、もっと幸福な人生を歩むことができるはずです。
 孔子(こうし)が「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」と述懐しているように、君子(くんし)といわれる人物でさえも50歳にしてようやく天命を自覚することができたのです。20代や30代で「自分は××のタイプだから…」「私は○○が苦手だから…」と言い訳して、選択肢を狭めてしまうことは、何とももったいないことです。
 まずは与えられた業務を甘んじて受け入れる、全力をあげて与えられた責任を果たす、という生き方をすることが、自分の人生を全うするために最も大切なことです。その先に、天命があるはずです。(天)命(めい)を知らざれば、もって君子たることなきなり。君子になるか、小人(しょうじん)で終わるかは、自分の目の前にあることを懸命に行うかで変わってくるでしょう。
冒頭は武者小路実篤の有名な言葉。50歳までにこういえるようになりたいものです。

【会計info】 まったく新しい会計情報サイト「リガヤフレームワーク」オープン!

毎月毎月公表される新会計基準。主要な会計基準を収録した「監査小六法」(平成20年版、中央経済社)も3000ページを超えるようになり、会計専門家でもキャッチアップが困難になってきています。
そこで、当社では、あらゆる会計基準を「1枚」の図解により表現した、新しい情報提供サイト「リガヤフレームワーク」をオープン致しました。
fw.gifリガヤフレームワーク」は、コンサルティングファームの株式会社LDSS(京都市)とのコラボレーションにより、当社の公認会計士・税理士があらゆる会計情報を整理し、「1枚」にシートにフレームワーク化し、「新しい知識」として情報を供給しようとする情報提供サイトです。

リガヤフレームワーク
会計基準を図解により表現し、右脳で「見る!」、本質を「理解する!」
まったく新しい会計情報サイトです!

【経営info】管理職に求められる部下の管理

言い切ることの大切さ

「部下を叱れば、辞めてしまうかも知れない・・・」、「自分が上司に責められるから注意しなければ・・・」こんな思いにかられた事はありませんか?
今回は、部下を育てるポイントについて考えてみましょう。

部下を育てるためには、その人物についてよく理解しておく事が必要です。その人物に興味を持たずして、有効なコミュニケーションが図れるはずがないのです。ある社員が残業をしないという話を聞いて、「君は何故みんなが頑張っているのに、さっさと帰ってしまうんだ!」という叱り方をする人がいます。ところが、よくよく話を聞くと、家族に要介護の高齢者が同居しているためにやむを得ず帰宅しているということだってありえます。表面的な情報だけで、部下を注意することはとても危険なことなのです。「最近、家で何かあったの?」と声をかけてあげられれば、そんな状況を相談してくれたかも知れません。< br>

問題を溜めない

「もう我慢の限界だ!!あいつに注意しなければ!」と意気込んで部下を叱ったら、まるで話が通じないということがあります。これは、部下が悪意を持ってミスを犯しているわけではないことの表れなのです。つまり、当の本人はタイムリーな注意、警告を受けなければ、それが問題であることすらわからないのです。何度も注意すると嫌がられるのではと思い問題を先送りにしてしまっては、決して本人のためにはならないということです。「これぐらい気付けよ・・・」と影で嘆く前に、一声かけて注意を促すということも管理職にとっては重要な業務です。「前から気になっていたんだけど・・・」「一度言おうと思っていたのだが・・・」という言葉は、相手に不快感を与えるだけなのです。

本気で付き合う

人の心を動かすには自分自身が本気でその人物と向き合う覚悟が必要です。ノウハウ本から得た知識やテクニックで人を動かせることは滅多にありません。自己流であっても、荒削りであっても、部下に対して熱くならなければなりません。野球の日本代表星野監督は理想の上司として何年も注目されています。彼のリーダーとしてのスタイルは闘争心を全面に出して、時には鉄拳をふるうほど熱いものです。「俺について来い!」「責任は俺が取る!」と語り、部下と本気で向き合う姿勢に本当の意味での愛情を感じるから、多くの人が彼に惹かれるのです。最近は、波風を立てずに何事も穏便に事を進めるという傾向が強くなっています。それでも人は、人の情熱や愛情を求めていることに何ら変わりはないのです。

【今月の1冊】 「人生生涯小僧のこころ」


今月の1冊 book0803.jpg
『人生生涯小僧のこころ』
塩沼亮潤著
1,680円(税込)/致知出版社

ここ最近で最もおすすめしたい一冊です。
「千日回峰行」という、往復48キロ、高低差1300mの山道を毎日16時間かけて9年間歩き続けるという荒行。これを達成した者は、著者を含めたった2人。想像を絶する苦難の日々を乗り越えて、悟りを開いた著者の言葉ひとつひとつに生きるヒント、生きる勇気を与えてくれます。著者はまだ40歳。本書を読めば、自分の限界点を大きく引き上げてくれるはずです。つらい時、苦しい時に、読み返してみると、きっと一歩踏み出したくなるでしょう。

今月の1枚
オーディオセミナーCD
『会社は頭から腐る』
元産業再生機構代表取締役 冨山和彦
5,250円(税込)/日本経営合理化協会AV局

産業再生機構時代に、ダイエー・カネボウ・三井鉱山など41グループ189社を、僅か4年で復活・再生させた再建のプロが、再生現場から見えてきた共通原因を事例に日本企業の病理の根源を説いたセミナーを収録したCD。会社がダメになるのは経営がダメだから、経営がダメになるのはトップ(経営者)がダメだから。では、リーダーシップの本質とは何なのか? 経営者の役割とは何なのか? 再生の修羅場を見てきた富山氏からすべての経営陣への貴重な提言。

【Key礎Word】 暫定税率

これだけは知っておきたい基礎ビジネス用語辞典
暫定税率

暫定税率とは、文字通り暫定的に決められた税率で、普通はガソリン税(揮発油税・地方道路税)などの「道路特定財源」のための目的税の「本来の税率に暫定的に上乗せされた」税率のことをいう。本来は「暫定」という一時的な税率であったはずだが、30年たった今でも、何度も延長措置がとられ、存続していた。
野党は、今年期限切れとなる暫定税率の廃止をし、消費者の負担を軽減すべきだと主張し、政府・与党は、暫定税率を維持し、道路整備を進めるべきだと主張してきた。結果として、4月1日にガソリン税の暫定税率が失効した。しかし、消費者が求めていたのはガソリン代の軽減ではなく、税金の使途明確化であったはずだ。

【企業探訪】[8]「受注損失引当金の甘い罠(前編)」

「今井さん、ちょっとお時間よろしいですか?」
「あら!? 小林君じゃないの!! どうしたの? 明智君にいじめられたの?」
「いえ、今日は、監査で訪問しているクライアントの件でちょっと・・・。」
時を遡ること1日前、明智と小林君が参加する監査チームは、ある会社の監査の過程で仕掛品の製造原価が付け替えられている事実を発見してしまったのである。
「部長、これは大変申し上げにくいことですが、このAプロジェクトの原価の一部をBプロジェクトの原価に付け替えていますよね? 正直におっしゃって頂けませんか?」
「・・・そうです、明智さんのおっしゃる通りです・・・。この際なので、すべてを申し上げますが・・・・」
明智の問いかけに心の箍がはずれたのか、経理部長は堰を切ったようにしゃべり始めた。
「弊社では、これまでにも、しばしば製造原価の付け替えをやっておりました。でも、そのほとんどが、プロジェクト担当者が、調子の悪かった期の営業成績をなんとかうまく見せるために、ほそぼそとやっていたことなのです。金額的にもあまり大きくなかったこともあって・・・。会社のためにと半ば黙認していたことも事実です。でも、でもね、明智先生!! 受注損失引当金(※1)がこの状況を一変させたんですよ!! 」 「(どういうことだろう??)」
その時、小林君には、「受注損失引当金が状況を一変させた」という言葉の意味がよくわからなかったようです。

「その後、ちょっとした沈黙になっちゃって。それからしばらくして、うちのマネージャーがやって来たので、その続きは別室で行われることに・・・。」
「ふ~ん、そう。それで、『受注損失引当金が状況を一変させた』という意味が気になるというわけね。」
「そうなんです。いままでの製造原価の付け替えは、いくつものプロジェクトを使った非常に少額なものだったらしいのですが、今回のものは、1つのプロジェクトに多額の原価を付け替えているんですよ。でも、『原価の付け替えが1つのプロジェクトに集中する』ということと『受注損失引当金の計上』とがうまく結びつかないんですよね。プロジェクト担当者に心変わりがあったのかな~?」
「・・・小林君、あなた今、既に答えを言っているわよ!!」
「えっ!??」
                     後半につづく

【登場人物】
明智(明智龍之介)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。現場では主に主査(いわゆる監査の現場監督者)を担当している。
今井(今井 京子)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。明智とは公認会計士試験の受験時代からの知り合いで、同期にあたる。
小林 (小林新一) ― しあわせ監査法人在籍1年目の新人会計士。

※1 期末日時点で、予定販売価額よりも仕掛品残高の金額が大きい場合、その超過部分は予定販売価額では回収できない原価となります。つまり、翌期以降に予定販売価額で当該仕掛品(販売時には製品)を販売すると、当該超過部分だけ販売損失が計上されることになります。そのため、将来の損失に備えるため、当期末において、当該超過部分に対して引当金を計上することがあります。なお、効果的には棚卸資産に低価法を適用した場合と同じになります。