2008年01月号

【世を読む】 新年あけましておめでとうございます。

「徳」を磨く1年に!
 早いもので21世紀に入り8年目の新年を迎えることになりました。昨年は皆様には大変お世話になりました。本年もリガヤグループをどうぞよろしくお願いします。
 さて、昨年を振り返ると何とも「お粗末」な1年だったと感じます。この1年ほど、不正・不祥事・偽装・偽造・隠蔽といった言葉がメディアを飾った年はないでしょう。一方で、昨年の年間のベストセラー1位は坂東眞理子著『女性の品格』、一昨年の年間ベストセラー1位は藤原正彦著『国家の品格』であり(トーハン調べ)、多くの企業や個人が品格や正しい人間観・価値観というものを取り戻そうとしていたのではないかとも感じます。
 東証一部上場企業のSBIホールディングスは今年、「SBI大学大学院」を開校する予定で、「徳育」と「実学」に重点を置いた講義を行うようです。「徳育」では四書五経を中心とした中国古典や日本の近代思想史などを教科書に使い、「実学」では実践的な経営プロフェッショナルの育成を目指すとしております。知識の詰め込みによる経営のプロを育成するだけでなく、大学院において「人物を育てる」教育が行われるという点で非常に注目しております。中国では、「一人っ子政策」の影響で非常にわがままな子供が増加していることが社会問題となり、現在12歳以下の子供に論語の素読を義務付けているようです。二千年以上にわたり語り継がれてきた先人の教えを、徹底して教えていこうと国をあげて取り組んでいるようです。我が国の小学校でも「徳育」の導入が一時議論されましたが、このような「お粗末」が続いている今日において、小学生だけではなく我々も、個人は「人徳」を、企業は「社徳」を磨く必要があるのではないでしょうか。
 2008年は、日本人が日本の伝統的な良さを見直す年になればいいな、と思っております。

2007年ベストセラーランキング
1位●女性の品格 (坂東 眞理子/PHP新書)
2位●ホームレス中学生 (田村裕/ワニブックス)
3位●鈍感力 (渡辺 淳一/集英社)
4位●日本人のしきたり(飯倉晴武/青春出版社)
5位●新・人間革命(17) (池田 大作/聖教新聞)

【リガヤの視点】Vol.4「天の時、地の利、人の和」

『孟子』の中に「天の時は地の利に如(し)かず、地の利は人の和に如かず」という有名な言葉があります。
「天の時」とはタイミング、「地の利」とは立地条件、「人の和」とは組織力と言い換えることもできるでしょう。すなわち、「タイミングが良いことによる幸運は、立地条件の良さには及ばず、立地条件の有利さは組織力の強さには及ばない。」と訳することができます。孟子は、仕事や事業で成功するためには「天の時」「地の利」「人の和」といい3つの条件が必要であるが、同時に「人の和」が最も重要である、と教えてくれています。
経営の失敗は、「天の時」「地の利」「人の和」のいずれかが欠けた時に起きるものです。例えば、ベンチャー企業の失敗は、創業者がすべて自分でやろうとする傾向があり、「人の和」というものが無いケースが多く見受けられます。
経営者は、成功に必要な3つの要件を常に意識してもらいたいものです。

【会計info】 内部統制に関するいくつかの誤解

内部統制に関するいくつかの誤解

来年より本格化する内部統制監査。既に多くの企業が準備に追われていると思います。先日、金融庁企業会計審議会 内部統制部会部会長の八田進二教授が、あるシンポジウムにおいて、「内部統制に関する (実務者側の)いくつかの誤解」として、次の8つの問題点を指摘されていました。

(1)内部統制の4つの目的すべてを達成しなければならない、という誤解

目的は「財務報告の信頼性」の確保。当然のことながら会計まわりの内部統制の整備・運用状況の構築・評価が重要。それにも関わらず、会計の「か」の字も出てこないプロセスの評価を一生懸命やっている、ってことがあるのではないか。

(2)経営者以外の者が評価の主体を代行できる、という誤解

「財務報告の信頼性」の確保が目的。CEO、CFOという立場の方が主体となって取り組むべきだ。

(3)コスト負担を余儀なくされる、という誤解

実施基準は効率的な形で整備が行われていくような工夫がなされている。自分の体は自分が1番知っているわけであるため、第三者(コンサル会社等)へ丸投げするのではなく、経営者が積極的に取り組む必要がある。

(4)すべてのリスクを洗い出し、それに対する統制を講じることが「リスク・アプローチ」である、という誤解

このような誤解を招くような記述がなされている書籍が多いので注意が必要。「にわか内部統制専門家」「エセ内部統制論者」の書いた本が多いが、これらは制度設定者の趣旨とは異なる。

(5)文書化ということの過度の強調

手段が目的化しているのではないか、と思われることがある。

(6)ダイレクト・レポーティングを採用しないことに問題があるという考えの誤解

会計と内部統制の一体的監査、監査役・内部監査人との連携により、監査効率は上がる。

(7)内部統制をいくら強化しても、経営者不正はなくならない、という誤解

「四半世紀も前から、経営者不正を防ぐには内部統制強化が必要だと感じていました」(八田氏)

(8)中小規模の企業には実務上緩和措置が導入される、という誤解

緩和措置はない。中小規模の会社には、中小規模の会社なりのやり方があるはず。



特に(5)が「誤解の最たるもの」であると述べられていました。米SOX法のような「重武装」をしなければならないという誤解が広がっているようです。過度のコスト負担や社内資料のすべての文書化をしなければならないといった誤解がありますが、日本の内部統制監査制度は、米SOX法を和訳したものではなく、「日本独自の制度」として企業の自主性・独自性や、効率性を勘案したものとなっていますので、制度の仕組みをきちんと理解した上で準備を進める必要があります。

内部統制が始まって、企業不祥事が増えていないか?

八田教授の8つの指摘以外に、内部統制コンサルティングを行っている当社としても、次のような問題点を感じています。

(1)四半期報告書制度・決算早期化対策を忘れていないか?

内部統制監査報告書は2008年度第4四半期で公表しますが、四半期報告書制度・決算早期化は2008年度第1四半期から適用されます

(2)会計士以外のコンサルタントへ依存していて大丈夫か?

いわゆる「文書化」作業までは終えても、そこから先のリスク評価、改善作業をコンサルタントが指導・支援できていない、という状況が見受けられます。

(3)内部統制監査対策が始まってから、企業不祥事が急増していないか?

「不祥事の根本問題」がどこにあるのか、再検討すべきではないか。


四半期報告書制度(四半期決算および四半期レビュー)や決算早期化(四半期報告書の45日以内開示)は、内部統制と違い外部コンサルタントへ支援を依頼しても直ぐに成果がでるものではありません。早い会社ではあと半年後に四半期報告書を提出しなければなりませんので、早急の準備が必要となります。
また、企業不祥事が急増している点についても、内部統制監査対策という枠を越えたステークホルダー(消費者、取引先、従業員など)の保護を考えた対策が必要なのではないでしょうか。内部統制には限界があると言われています。内部統制の限界が露呈するのは「人の問題」です。財務報告の信頼性確保だけではなく、あらゆるステークホルダーを保護するために真摯な姿勢で主体的に取り組んでいく「経営者の姿勢」が必要となります。

【経営info】 期限の重要性

期限の重要性

毎月、何度も会議、打合せを行っても翌月の会議では、同じことの繰り返しになってしまう事はありませんか?「経営=仕事を進める」と考えると何が業務の妨げになっているのでしょう。年明けの最初のテーマとして「期限」について考えてみませんか。
2008年がスタートしましたが、経営者の皆様は今年の目標を掲げ、各事業部はそれぞれに年間スケジュールを昨年末までに立てていると思います。あとはそれを実行すれば良いだけの事です。年が明け、真新しい手帳には予定が書き込まれ、月末には達成されているべき数字や内容が明記されているのに、2月、3月と月日が流れると様々な理由で仕事は進まなくなってしまうのは何故でしょうか?

来社する営業マンや取引先とのやりとりの中でこんな言葉をよく耳にします。
「来週中には資料をお持ちします」
「今週中にはご連絡させて頂きます」
「月末はお忙しいと思いますので、来月早々にでもあらためます」
一方、こんな言葉を耳にする場合もあります。
「水曜日の午後2時に資料をお届けします」
「今週金曜日の午前10時にお電話させて頂きます」
「来月1日、金曜日の同じ時間に御伺いさせて頂きます」

最初の事例は、日程や約束に幅を持たせることで、相手を気遣っているようにも感じられます。ところが、私の経験からするとこのような言葉を交わした相手と取引が成立したり、ビジネスにおいて良き付き合いが継続した事はほとんどありません。
後者のように明確な日時を口にする人物には勢いがあり、周囲からの信頼も厚くビジネスはどんどん広がりを見せるものです。
経営も全く同じではないでしょうか?
部下に対して、
「企画書完成したら私の机においといて」
「例の会社訪問の日時調整しておいて」
「この件については各自よく考えておくように」
つまり、何か指示を出しても具体的な期限が明確ではないという事です。指示を受けた側は期限が設定されていない案件ですから、時間がある時に終わらせれば良いと勝手に判断してしまいます。
先述した、営業マンや取引先の事例を具体的な日数に置き換えればどれほどのロスが生じているかは一目瞭然です。例えば、月曜日に「今週中には」と言葉にすることによって、双方が三日間ロスすることになります。もちろん三日要する場合は別ですが、多くの場合、何となく「今週中には」と表現することで余裕を持ちたいだけなのです。
ある知り合いの食品会社の社長さんの話ですが、私がある打合せの席で「ホテル業界の事で相談に乗って欲しい」と頼んだことがあります。するとその内容を話すや否や、すぐに彼は携帯電話で該当する人物に連絡をしてくれた上、その場でアポまで取ってくれました。あまりの急展開に私自身驚いたのですが、彼の仕事に対するスタイルは「目の前にある事ですぐに片付けられるものは即解決する」というものだと言われました。その会社も一時は経営の危機に瀕したこともありましたが、今では業界の確固たる地位を築き信頼される企業へと生まれ変わったのは言うまでもありません。
365日という限られた日数も、ひとつの案件につき数日ロスしてしまえば1年間で数十日、あるいは100日以上も失う可能性だってあるのです。「いつまでに」という基本的な姿勢をしっかりと持つことによって、会社は昨年の倍、3倍の速度で成長できる可能性を秘めていると思います。
2008年は是非とも、「すべての仕事に期限を」という意識改革のもとに取り組めればと感じている次第です。

【今月の1冊】 「公認会計士vs特捜検察」


今月の1冊 book0801.jpg
『公認会計士vs特捜検察』
細野 祐二
1,890円(税込)/日経BP社

ある凄腕の公認会計士が粉飾決算容疑で逮捕された。会計学者から粉飾ではないとの鑑定意見が出され、他の容疑者のよる被告に有利な証言が相次ぐが、一、二審とも敗訴。白血病の妻が急死するという悲運に見舞われるなか、現在も上告して闘っているが、本書はその闘いの詳細を記した被告自身の手記である。監査制度維持のため、司法の闇を弾圧するため、正義感をもって闘う壮絶な内容である

今月の1枚
オーディオセミナーCD
『"夢・感動・情熱"経営学』
ワタミ株式会社代表取締役社長 渡邉美樹
7,400円(税込)/ Visionet

知人の社長から頂いた、ワタミ渡邉美樹社長のインタビューCD。外食・介護・農業・環境・教育と幅広い分野へ進出し、一代で売上1000億円の企業を作った情熱の男の頭の中はどうなっているのか?? 非常に濃い70分です。渡邉美樹社長の書籍『思いを形に変えよ!』(PHP研究所)も強くお薦め! 両方とも繰り返し聞く(読む)価値ありです!

【Key礎Word】 200年住宅ビジョン

これだけは知っておきたい基礎ビジネス用語辞典
200年住宅ビジョン

日本の住宅は平均約30年で建て替えられており、アメリカの約55年、イギリスの約77年と比較して著しく低い。「200年住宅」は、福田康夫首相が所信表明で普及に取り組むことを表明していた構想。その後、福田首相は自民党住宅土地調査会長として「200年住宅ビジョン」を掲げた。耐久性・耐震性に優れた住宅の目指し超長期にわたる安全な暮らしを実現するだけではなく、「つくっては壊す」ことによる環境への負荷を最小限にとどめるなどのメリットがある。
「200年住宅」については、消費税や固定資産税の取扱い等も含めて、税負担の軽減を検討しており、2008年(平成20年)税制改正に盛り込まれる予定である(2007年12月10日現在)。

【企業探訪】[4] 「繰延税金資産って一体何?」

「明智さん!! 私、もう、自社の決算書がどうなっているのかよくわからなくなっちゃいました!! 企業会計で決算書を作成すると、こんなことになっちゃうんですか?」
それは株式上場を目指している若き会社社長の嘆きである。上場支援のため、明智と小林君とで会社の決算書を調査し、企業会計原則に基づいた決算書を作成したところ、予算とはあまりにもかけ離れた決算書が出来上がったためである。

「退職給付引当金って何ですか?アクチュアリー(※1)から報告書を取り寄せたのはいいんだけど、何を根拠にこんな金額が出てきているのか全く理解できませんよ!! その他有価証券の評価差額金ってなんですか? 時価評価する意味もよくわからないし、差額が損益でないっていうのは、どういうこと? 繰延税金資産って?? こんな資産、買ってきた覚えないんだけど。これ売れるの? っていうかそもそもこれ何?・・・・」 若き社長の疑問は尽きないようである。

「わかりました、社長さん。では1つ1つ説明していきますね。まず、退職給付引当金ですが、これを理解するためには、退職給付債務というものを理解する必要がありまして・・・・・。」
「んー、よくわかんないなー!! 明智さん、本当に必要なの?その処理。」
明智が1つを説明しては、社長が4つも5つも質問をし、それをまた明智が説明するという押し問答を繰り返し、一通り説明が終わったのときには既に深夜を迎えていた。同席していた小林君もへとへとである。
「明智さん、やばいです。終電が・・・・。」
ひとまずその日の説明は終わりましたが、その後も明智(時々、小林君)と社長の押し問答は際限なく繰り返されたそうです。

さて、最近の決算書ですが、どんな印象をお持ちでしょうか? 十数年前には、まだその存在すら知られてなかった会計処理。それが今や、我が物顔で決算書を牛耳っているではありませんか!! まさに会計処理のジェネレーションギャップ。さらに、これらの会計処理はいずれも複雑さを極めています。
『ちょっとやそっとの知識では、もはや決算書を理解することができない』、そんな状況ではないでしょうか。決算書自体が、それを作成する経営者、そしてまた、それを利用する利害関係者の手を離れ、何か暴走さえしているように思えてきます。
若き社長はこの決算書を理解できる日がくるのでしょうか?

【登場人物】 明智(明智龍之介)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。現場では主に主査(いわゆる監査の現場監督者)を担当している。
小林君(小林新一)― しあわせ監査法人在籍1年目の新人会計士(補)。

※1アクチュアリーとは、確率・統計などの手法を用いて不確定な事象を扱う数理のプロフェッショナルです。このうち、企業年金分野に携わっているアクチュアリー(通称「年金アクチュアリー」)は、適格退職年金等の企業年金の掛金計算や退職給付債務(PBO)の算出等を主な業務としています。