2007年10月号

【創刊挨拶】経営者のための実践経営マガジン LIGAYA PRESS

代表取締役 園田 幸央
 当社が多種多様なクライアントの皆様とおつきあいさせて頂く中で、常に感じていることは「人とのつながりの大切さ」です。どんなに優れたアイデアや技術があっても、それを社内で具現化する人、社外で評価して下さる人がいなければ何の意味もありません。まだまだ当社の歴史は浅く発展途上ではございますが、経営者の皆様からお褒めの言葉を頂戴する機会も増えてまいりました。クライアントを助ける立場でありながらも、逆に色々な事を教えて頂けるのもこの仕事の素晴らしさであると実感しております。一社でも多くのクライアントにLIGAYA(幸せ)を実感してもらうべく、社員一同、当フリーペーパーの作成に尽力していく所存でございます。「LIGAYA PRESS」が読者の方々にとって少しでも役立つ情報誌であるとともに、リガヤグループと皆様の接点としてご利用頂ければ幸いです。


代表取締役/公認会計士 武田 雄治
最近、初めてお会いする方へ名刺を差し出すと、「あっ、リガヤさん。ずっと、お会いしたかったのですよ!」と言われることが多くなりました。メルマガやブログ、ホームページなどから当社が配信している情報は、毎日のべ数千人の方にご覧頂いており、webの時代において、むしろ人と人とのつながりが緊密になってきたように感じています。
当フリーペーパー「LIGAYA PRESS」は、そんな「Web2.0」といわれる時代の流れに逆行するように創刊することとなりました。これは不特定多数の認知されていない対象への情報提供ではなく、認知された特定の皆様に対し、より実践的な情報を伝えたいという我々の想いが形になって生まれたものです。我々リガヤグループは、多くの専門的情報の中を整理・分類・比較し、その中から共通項やルール・法則などを見つけ出し、それを価値情報として発信することに時間や努力を惜しまない会社です。「LIGAYA PRESS」は、読者の皆様の「知の選択肢」をご提供致します。どうぞお楽しみ下さい!

【リガヤの視点】Vol.1「経営に近道はない」

「一攫千金を狙っています!」「一か八かの勝負をします!」ということを真面目な顔をしていっている経営者を見かけます。でも、それは「野心」であって、「志」ではなく「経営理念」でもありません。ホリエモンのように「時価総額世界一を目指す!」というのも全く同じです。松下幸之助さんは『実践経営哲学』(1978年)の中で、「事業経営において一番根本になるのは正しい経営理念である」といっています。理念なき経営をまるでギャンブルのように行っている経営者を見ると非常に心配になってきます。
稲盛和夫さんは「経営に近道ない」ということをいっています。明後日を見る必要はない。今日・明日を一生懸命生きていく。「地味な一歩一歩の延長に偉大なことが成し遂げられる」ということです。イチロー選手も、「小さなことを重ねることが、とんでもないところに行く唯一の道」(2004年年間最多安打達成時のコメント)といっています。
前向きな経営者ほど「明後日」をみてしまうもの。でも、大切なことは、正しい経営理念のもと、今日やらなければならないことを一生懸命やることなのです。

【会計info】内部統制とは

▽内部統制って、結局なんだ!?
世間では「内部統制」「SOX」と叫ばれ続けております。近年の相次ぐ不正会計事件や不祥事事件をうけて、投資家を保護すべく、上場企業やそのグループ企業において2009年3月期以降から「内部統制監査」が実施されるためです。
しかし、内部統制の本質とは何なのかについて理解されている方は少ないようです。
ある上場企業でこのような不祥事がありました。一営業担当者が単独で会社印鑑を偽造し、顧客へ架空の権利を売却する契約書を作成・締結、代金を現金で回収し、約7千万円を懐に入れていたのです。このような不正・不祥事はどこの会社においても起こりうる典型的な「内部統制の弱点」であり、このような不正・不祥事を起きないよう会社や投資家等を保護していく仕組みを作っていくことが「内部統制の構築」なのです。

▽内部統制=文書化ではない!
「内部統制の構築」というと、業務フローチャートを作成したり、規程やマニュアルを作成したりと、いわゆる「文書化」作業をすることだと思われている方が多く見うけられます。しかし、どれだけ一生懸命「文書化」を行っても、不正・不祥事を減らすことができるわけではありません。例えば、雪印乳業で食中毒事件が発生しましたが、当時雪印には食中毒の対応マニュアルは存在していたようです。しかし、マニュアル通りに役員や管理職レベルの方が対応できなかったことが1万人を超える戦後最大の集団食中毒事件へと発展し、ブランドイメージも信頼も失墜しました。

▽経営者に本当に必要なこと
 97年の山一證券事件を皮切りにこの10年間に信じられない数の会計不正が行われてきた中で、投資家を保護する目的から「内部統制監査」は義務付けられました。しかし、当然のことながら投資家だけを保護すれば良いのではありません。会社は、従業員・顧客・取引先などステークホルダーが存在するから成立するものです。今の経営者に求められていることは、このステークホルダーを保護していく姿勢です。雪印に限らず、不二家、ミートホープ、「白い恋人」の石屋製菓など、経営者は利益を追求するあまり、顧客の喜ぶ笑顔など思い浮かべたことはなかったのでしょう。P.ドラッカーは「経営とは、人を通して正しいことを行うこと」と言っています。形式的なマニュアル作りに追われるのではなく、経営者が正しい倫理的価値観をもつこと、それを役職員にも浸透させることが何よりも重要なのです。

【経営info】情報収集から情報処理へ

▽情報収集する時代から情報を処理し自社の経営に反映させる時代へ
 「経営」というキーワードで書籍を探したり、ネットで検索すると十年前では考えられないほどの情報を瞬時に収集することが可能となりました。ところが、それらを自分の中で消化し実践するとなると容易なことではありません。容易に入手出来る情報を持て余してしまうのは処理能力の問題であると言えるでしょう。情報収集に際して、経営者自身が「何のためにその情報を必要としているか」ということを意識しなければ意味がないのです。つまり、集まった情報を自分なりに整理し、それをアウトプットする必要があるのです。情報収集をする時代から、情報を処理し自社の経営に反映させることが重要なのです。

▽変化に対応する
今年4月、アメリカを代表するチョコレート会社「Hershey」が経営の危機に瀕しているという報道がありました。太平洋戦争直後に、アメリカ軍兵士がお腹を空かした日本の子供達に配ったことでも有名なチョコレートが「Hershey」であることを知っている人は少なくなりましたが、100年以上の歴史を誇る(1894年創業)老舗はアメリカを代表する菓子メーカーのひとつなのです。1500人にもおよぶリストラによって、地元では不買運動までも引き起こしてしまうほどの騒ぎとなりました。食品メーカーがひとつの製品を長きに渡り作り続けることも大切ですが、競争によって売れなくなってしまった時にどのように舵取りをするかが問われているのです。21世紀は変化の時代と言われますが、ニーズを常に受け止め、それを経営に活かしていく必要性は世界共通のようです。

▽経営理念を考える
 会社の規模に関係なく、企業とは人の集まりです。性善説ではありませんが、基本的に人は元来、正しい事をしたいと思っているものです。自分が働くなら、胸を張って頑張れる環境を望むのは当然のことなのです。
経営理念 「正しい倫理的価値観を持つ」
ビジョン 「グループ内上場企業の合算時価総額を現在の約1兆円から3年後に3兆円、
5年以内に5兆円とすることを目指す。」
これはSBIホールディングスの五つある経営理念の最初のひとつですが、「違法でないか」「儲かるか」よりも「社会正義に反していないか」という事の重要性を説いています。また会社のビジョンとして、具体的な数値目標とそれを達成するための方策まで示している点も会社の方向性を明確にしている要因のひとつであると言えるでしょう。「自分はどのように仕事をするのか」「どこへ向かっているのか」という誰もが一度は抱く疑問に見事にこたえているとは思いませんか?

【今月の1冊】「もう、国には頼らない。」


今月の1冊 book0712.jpg
『もう、国には頼らない』
渡邉美樹
1,365円(税込)/日経BP者

居酒屋チェーン「和民」を展開するワタミ渡邉社長の本。ワタミは現在、「教育」「医療」「福祉・介護」「農業」「環境」の分野まで事業を幅広く展開している。これらの業界は、いずれも事実上「官」が牛耳っている「公」的なものばかり。「経営」が不在である分野に民間企業であるワタミが参入したことによって見えてきた「官」の問題点とは何か? 「経営」とは何か? 多くの経営者にとって生きた教科書となるであろう一冊です。

今月の1枚
オーディオセミナーCD
『メッキじゃなく、ホンモノの経営者になる方法』
SBIホールディングスCEO 北尾吉孝
5,000円(税込)/アルマック

フジテレビとライブドアのニッポン放送株をめぐる駆け引きが行われたとき、「ホワイトナイト」として突如現れ、ホリエモンを黙り込ませた男、SBIホールディングス北尾吉孝CEO。この堂々たる態度の背後には、東洋思想から学んだ実践の哲学と、それに基づく確固たる経営理念があった!  企業理念はどうあるべきなのか? それをどうやって浸透させていくのか? 日本中の経営者に聞いて欲しい、神田昌典氏との対談CDです。

【Key礎Word】サブプライム・ローン

これだけは知っておきたい基礎ビジネス用語辞典
サブプライム・ローン

米国で多発している信用力の低い個人向け融資のこと。プライム(prime)とは優良顧客を意味し、サブプライム(subprime)とは信用度の低い顧客を意味する。

最近の世界的な株価の乱高下の原因は、このサブプライム・ローンの焦げ付きである。サブプライム・ローン残高は2006年末時点で約160兆円と、米住宅ローン全体の14%を占める。しかし、今回のサブプライム・ローンでの損失は、最大で名目GDP比1%に満たないとみられ、90年代の日本のバブル崩壊時の公的資金注入額が名目GDP比3%だったことに比べると規模は小さい。ただ、今回のサブプライム・ローンのリスクの所在が不透明だということで市場では不安が広がっている。


【企業探訪】[1]「固定資産の残存価額がマイナスに!!」

寒空が覆うある1月のこと。私と小林君は、海外に親会社をもつ日本法人の非上場子会社(※1)の監査現場で粛々と監査手続を実施していました。3日を過ぎた頃、私は、小林君の作成した監査調書をレビュー(※2)することにしました。そこで、まず目についたことは、当座預金がマイナスになっているという点。「当座預金のマイナスは短期借入金に振り替る。」という表示上の処理は有名な話ですね。会社の処理も短期借入金に振り替えられており、調書にもその旨のコメントが残っていました。 「よし、よし。」

その後、順調に調書レビューは進んでいきましたが、固定資産の調書でふと手が止まりました。次に目についことは、固定資産台帳がエクセルで作成されているという点。 「ふーん、この会社の固定資産台帳はエクセルか・・・。 けっこう固定資産の数が多いけど、大丈夫かな?」

当座預金がマイナスになっていたのはムシの知らせでしょうか? 恐る恐る固定資産台帳(エクセルシート)を見てみると、 「うっ・・・、数字の頭に『-』が・・・。」 残存価額がマイナスになっているではありませんか!しかも無数に!!  「小林君、ちょっといいかな? 残存価額がマイナスになっている固定資産のこと何か聞いている?」 「えっ、・・・(調書を確認した後)、会社の方に聞いてきます。」かなり焦っていましたね、小林君。狭い廊下をダッシュして聞きにいっていました。 原因は言わずもがな。減価償却計算のやり過ぎです。耐用年数が到来しても計算し続けたわけですね。止まらないのです、減価償却計算が。暴走特急電車のように・・・。固定資産のマイナス残高なんて聞いたこともないかもしれません。しかし、今回のような小規模子会社の監査や非上場会社の監査(ときには上場支援)においては、しばしば見受けられる光景なのです。

解決策は、至極簡単。 ① 定期的に固定資産台帳をチェックすること。 ② エクセルでの管理をやめ、専用のソフトウェアで固定資産を管理すること。 ①は、人による手動チェック、②はITによる自動チェックです。但し、②についても、①のような定期的なチェックは行うべきでしょう。 あなたの会社の固定資産は大丈夫ですか?

【登場人物】 私(明智龍之介)― しあわせ監査法人在籍8年目の公認会計士。現場では主に主査(いわゆる監査の現場監督者)を担当している。 小林君(小林新一)― しあわせ監査法人在籍1年目の新人会計士(補)。

※1 親会社の作成する連結財務諸表が監査対象である場合、子会社も監査対象になります。それは海外に親会社をもつ日本法人の子会社であっても例外ではありません。通常は、子会社が作成する連結パッケージが監査対象となります。

※2 監査は通常、チームを結成して業務にあたります。チーム構成や人数は被監査会社の規模によって様々ですが、通常はパートナー、マネージャー、シニア、スタッフで構成され、監査の品質保持や教育などのために、部下が作成した監査調書(監査手続の実施結果をまとめた書類)は上司にレビューされることになります。